「参政権は民団への公約」民主・赤松氏 衆院選の“見返り”(01.13産経新聞)

「参政権は民団への公約」民主・赤松氏 衆院選の“見返り”

昨年夏の衆院選当時の民主党選挙対策委員長だった赤松広隆農水相は12日、都内のホテルで開かれた在日本大韓民国民団中央本部(民団、鄭進団長)の新年パーティーであいさつし、民団による衆院選での民主党支援に「心から感謝申し上げる」と表明。そのうえで民団の支援は、外国人地方参政権獲得のためで、永住外国人への地方参政権(選挙権)法案の成立は民団への公約だと強調した。民主党幹部が、参政権を条件に民団から組織的な選挙支援を受けたことを認めたのは初めて。
赤松氏は「鄭進団長をはじめ民団の皆さまには昨年、特にお世話になった。投票はしてもらえないが全国各地でいろんな形でご支援いただき、308議席、政権交代につながった」と語った。
さらに「民主党中心の政権で地方参政権問題が解決するとの思いで応援してくれたと思う。その意味で公約を守るのは当たり前だ。本当にあと一歩。感激でいっぱいだ」と参政権法案の通常国会成立を約束した。
民主党は意見集約が難航し、日本の有権者向けの衆院選マニフェスト(政権公約)に、外国人参政権付与を盛りこんではいない。


外国人参政権めぐり温度差

原口総務相は慎重姿勢 「推進大合唱」と距離

政府・民主党首脳会議が11日の会合で、永住外国人に対する地方参政権(選挙権)付与法案の通常国会提出を決めたことを受け、鳩山由紀夫首相ら与野党の推進派が12日、相次いで積極姿勢を示した。だが一方で、国民新党の亀井静香代表(郵政改革・金融相)が改めて反対を打ち出し、法案所管の原口一博総務相も、国民新党の合意が前提と語って「お祭りムード」に水を差した。政府与党内の温度差は埋まっていないようだ。(榊原智、坂井広志)

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鳩山首相は12日、首相公邸前で記者団に参政権法案について「(与党内の)理解は得られると思っている」と自信を示したが、これを亀井氏はあっさり否定した。

亀井氏は12日の記者会見で「法案提出について民主党から打診はない。国民新党は賛成していない」と語った。理由については「憲法の精神の面からも参政権は慎重に扱うべきだ。参政権が得たい人は帰化すれば済む。帰化しやすくすることを考えればいい」と法案を正面から批判した。

さらに原口総務相は慎重姿勢を示した。

原口氏は会見で「連立政権だから連立3党で意思決定されて初めてわれわれ(総務省)が作業を始める問題」と述べ、法案策定の着手には、反対する国民新党を含む与党3党の合意が必要との認識を示して、推進派との温度差をみせた。また平野博文官房長官も同日の記者会見で「憲法違反と一部おっしゃる方もいると聞いている」と述べた。

こうした慎重論をよそに同日昼、東京・内幸町の帝国ホテルで開かれた在日本大韓民国民団中央本部(民団、鄭進団長)新年パーティーは推進一色となった。

鄭団長が「今年が地方参政権付与の年となれば、これにまさる喜びはない。通常国会で日本世論の祝福をもって実現されることを切に願います」とあいさつ。韓国の権哲賢駐日大使が「必ず実現するようお願いします」と要請すると、居並ぶ与党幹部から同調の声が続いた。

民主党の小沢一郎幹事長の代理であいさつした山岡賢次国対委員長は、昨年12月12日のソウルでの李明博韓国大統領と小沢氏の非公式夕食会合について「そういう(地方参政権の)話がかなり出たとうかがっている」と紹介した上で、「参政権成立に全力で錦の御旗(みはた)として取り組む」と、通常国会成立を約束した。

中井洽(ひろし)国家公安委員長も「5日の閣議で首相が原口総務相に法案づくりを言った。今国会成立で親善増進を」、社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相も「これからの日韓は共生と協調の百年にしたい」と述べるなど、この問題を一気に決着させよう気勢を挙げた。


参政権 あいまい自民党

党内大半反対も…

党内の大半を参政権法案の反対派が占める自民党だが、政府・民主党の出方をうかがうムードが強く、幹部からは旗幟(きし)を鮮明にしない「あいまい発言」が相次いでいる。
谷垣禎一総裁は、12日の役員連絡会で意見集約を急ぐよう関係者に指示した。谷垣氏は、昨年9月の総裁就任会見では「慎重であるべきだ」と、法案に否定的な考えを示したが、この日は「党が結論をまとめる前に私個人の考えを言ってもなんだと思う」と態度を明らかにしなかった。かろうじて大島理森(ただもり)幹事長が「各県の議会で反対の意見書が数多く出ている。そういう声を尊重しながら議論したい」と地方の声を引きながら反対姿勢をにじませた程度だ。
自民党では、平成11年10月の自自公連立政権合意で公明党に配慮して参政権付与法案を「成立させる」としたが、党内は反対派が多数で、公明党が提出した同様の法案でも採決にすら応じなかった経緯がある。
12年には、与謝野馨党選挙制度調査会長(当時)が参政権付与は「憲法上問題がある」との見解の素案をまとめ、昨年12月には真・保守政策研究会(会長・安倍晋三元首相)が「阻止」を決議している。
ただ、党内で議論の場を設けると、少数とはいえ賛成派が主張を繰り広げる可能性があり、党内の対立が表面化することにもなりかねない。党政調幹部も12日、「一から議論すれば大変なことになる。論点は出尽くしている。あとは総裁、幹事長の決断だ」と述べた。


「参政権で帰化促進」

“小沢理論”データと矛盾

政府・民主党による永住外国人への地方参政権付与法案提出の原動力とされるのが、小沢一郎幹事長の意向だ。ただ、小沢氏が理由で挙げる論理は飛躍があって理解し難い。

小沢氏のホームページの「永住外国人の地方参政権について」という項目を見ると、永住外国人の大半を「在日韓国人・北朝鮮の人々」と位置づけた上で「そのこと(参政権付与)により日本に対するわだかまりも解け、結果として帰化も促進され、本当によき日本国民として、共生への道が開かれる」と記している。

だが、平成18〜20年のデータでは、歴史的経緯から永住権を持つ韓国・北朝鮮籍の特別永住者は約2万600人減り、約41万6000人と帰化は進んでいる。

逆に、参政権を得ることは、永住者の帰化への動機を希薄化し、不安定な在日外国人という立場の固定化につながらないか。在日本大韓民国民団による参政権要求の背景には、帰化増加で組織が弱体化したことへの危機感があり、参政権獲得で帰化が食い止められると判断しているわけだ。

さらに、参政権付与の対象となる中国籍の一般永住者は3年間で約2万5100人増え、約14万2400人。参政権問題はむしろ「中国問題」の様相を帯びている。

(阿比留瑠比)

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