中国人ツアーが激増 無資格ガイドを容認?(01.21東京新聞)

中国人ツアーが激増 無資格ガイドを容認?

通訳士業界反発「添乗員に仕事取られ…」

《こちら特報部・ニュースの追跡》

日本を訪れる中国人観光客が激増している。本来は「通訳案内士」の国家資格を持ったガイドが観光案内をするはずなのだが、格安ツアーは無資格の添乗員がガイド代わりだという。そんな中、国の検討会で「通訳案内士の業務独占や名称独占の廃止」が持ち上がり、通訳案内士らが反発している。

(出田阿生)

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通訳案内士は、明示発祥の外国人観光客向けガイドの国家資格。英語やスペイン語など10カ国語が対象で、計約1万3500人が登録している。日本の歴史や文化などの知識を持って説明できることが求められる。

通訳案内士法は2006年に大幅改正。施行後5年の見直しを来年に控え、観光庁は昨年、有識者による検討会を設置し「通訳案内士の業務独占の見直し」も議論中だ。

なぜか−。訪日者数は08年で中国圏(中国・台湾・香港)が294万人と最も多く、韓国の238万人、英語圏(米国・英国・豪州)の122万人の順。

しかし観光庁によると、実際に働く通訳案内士は4分の1のうえ、大都市に集中。登録は英語が7割に対し、中国語は1割で「有資格者だけでは需要に間に合わない」と担当者は説明する。

だが、中国圏の旅行者の9割が中国系旅行会社のツアーで、ほとんどが添乗員や日本在住の中国人らの無資格ガイドが案内しているという。

「中国語の闇ガイドの横行は目に余る」と、通訳案内士試験の予備校経営者、植山源一郎氏は明かす。「無料どころか、金を払ってでもガイドを引き受ける。土産物店に連れて行く手数料で稼げるからだ。中には原材料費がタダ同然の健康食品を売りつける店もある」

無資格者が有償でガイドをした場合、50万円以下の罰金が科せられる。厳しく取り締まる「観光国」もあるが、日本での摘発はゼロだ。仕事を奪われる中での容認論議に反発の声は強い。

全日本通訳案内士連盟の山田澄子理事長は「ガイドの質を保つ国家資格なのに、国は安さを求める旅行業界の要望を反映しようとしている。通訳案内士は年収100万円以下が4割。専業で食べていける人はごく一部というのに“独占”呼ばわりとは」と訴える。

一方、大手旅行社の担当者は「少人数のツアーでは価格競争もあり、質は保ちながら安くあげたい。簡単な説明でいいという人たちには、無資格のガイドも使えるようにしてほしい」と話す。

観光立国を目指す中、どう考えればいいのか。

「通訳案内士も観光振興に貢献できるよう、切磋琢磨する必要がある」と語るのは、中国語通訳案内士会の水谷浩副代表幹事。「ガイドは良い旅行をつくる職人。無資格ガイドのせいで日本に悪印象を持たれれば、観光立国は実現できない。国はむやみな規制緩和ではなく、通訳案内士の育成や支援をしてほしい」

また、平安女学院大の佐藤喜子光教授(地域振興観光学)は「国家資格でなくても有償で通訳ガイドができるようにする自由化は世の流れ。観光という性格上、語学力や知識よりもホスピタリティが求められる場合もある」とし、こう話す。

「地方では通訳案内士が不足し、地域限定の通訳案内士制度を創設したが、需要に追いつかない。ガイドの質は、各地の観光協会が独自基準をつくって認定するなどして確保すればいい」

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